チタンインプラント周囲の骨頂変化に対して、機械加工カラーが及ぼす作用。イヌの下顎骨を用いた組織統計学研究。
著者:Joachim S. Hermann等 出展:J.Periodontal September2011 volume82 Number9
目的:インプラント全体をSLA面が覆う、改良型インプラントデザインを調べ、機械加工カラーを有するインプラントと比較すること。
材料と方法:実験室で飼育されていた5頭のオスAmerican foxhoundsを使用。(2歳以下体重30-35kg)4本全ての下顎小臼歯と第一大臼歯を、両側で抜歯した。インプラントのデザインと表面は、2種類のデザインを有する、全体がスクリュー形状であるシリンダー状チタンインプラントを使用。(機械加工カラーを伴う対照インプラントと、それを伴わない試験インプラント)全てのインプラントで、内径は3.5ミリ、外径は4.1ミリであった。全長は9ミリ。それぞれのインプラント粗造部分はSLA面からなった。対照インプラントでは、トップから1.8ミリまでが比較的平滑な機械加工チタン面で根尖端から7.2ミリまでが、SLA面であった。試験インプラントについては、9ミリの垂直高径全体がSLA面であり機械加工されたカラーは存在しなかった。6個のインプラントと埋入ポジションのコンビネーションを調査し下位群AからFに分類した。下位群ABCでは、市販の対照インプラントを利用。下位群Aのインプラントは、r/s境が骨頂と同じレベルになるように埋入。下位群Bでは1mm上、下位群Cでは1mm下に位置していた。下位群DEFでは機械加工カラーを伴わないインプラントを利用。下位群Dではインプラントのトップ(MG界面)は骨頂から1mm上、下位群Eでは2mm上、下位群Fは骨頂と同じレベルになるよう埋入。インプラント埋入外科手術後1ヶ月に1回の頻度で、全てのインプラントのヒーリングアバットメントを、外さずにずらしすぐに締めた。インプラントの埋入に対する骨の反応を確かめるため、標準化したレントゲン像をインプラント埋入時と屠殺まで1ヶ月に1回得た。インプラント埋入後6ヶ月目に全てのイヌを屠殺した。
結果、検討:埋入後1ヶ月目に、下位群Fのインプラント2本で明白な動揺を伴う根尖周囲レントゲン透過像が示された。他58本のインプラントではインプラント周囲感染の臨床症状は認められず、アンキローシス的固定による、成功裏の組織統合が示された。バッドジョイントアタッチドアバットメントを伴う機械加工カラーインプラントが、そのMGが骨頂から2mm以上上に来るよう埋入される場合には、骨頂喪失は防止されうるのに対し1mm上、骨頂と同じレベル、或いは骨頂から1mm下に配置されると多くの骨頂喪失とインプラント周囲炎が起こる。
興味深い所見として、インプラント周囲軟組織にさらされていた、特に骨親的なSLA面で、(下位群B)、治癒済の骨頂(慢性欠損部)は、治癒中に、歯冠方向に移動する能力を有することが、はじめて示されえた。
結論:全体がSLA面である、ワンピースのノンサブマージインプラントは、機械加工カラーを有するインプラントと比較してMGからfBICまでの距離を縮め、インプラント周囲骨長喪失量を減じうる。更に本イヌモデルでは、インプラント埋入中におけるSLA面の僅かな露出は、全体的な硬組織と軟組織の統合を妨害することはなく、数件の症例では、歯冠方向の骨が形成されている。