支持的歯周治療におけるEr:YAGレーザー療法

著者:Petra Ratka-Krueger
出展:J.Clin Periodontol 2012 39 483-489
目的
前向き無作為対照付き多施設研究デザインにて固執する歯周ポケットを治療するために利用したEr:YAGレーザーの臨床的及び微生物学的アウトカムを音波デブリドマンと比較しながら、評価することにあった。
材料と方法
慢性歯周炎に罹患していた、それぞれが2本の歯牙に2個の残存歯周ポケットを有していた計78名の患者を(女性30名、男性28名 平均年齢57±10歳 全員非喫煙者)前向き無作為対照付き口内分割多施設研究デザインで、音波スケーラーとErYAGレーザー(KEY Laser3)で治療した。
取込基準は慢性歯周炎が治療済み、全身性疾患が無い、BOP+、PD5mm以上またはBOP±、PD6mm以上、残存歯周欠損を伴う2本の単根歯が存在していたこと、各々の歯牙が異なる1/4顎に存在しお互いに隣接していなかったこと、臨床的に観察可能な歯肉縁下、縁上歯石が存在していなかったこと、2年以内に系統的な歯周治療が行われたこと、過去12週間に抗生剤が服用されなかったこと、とした。
微生物学的検査はそれぞれの研究対象部で、滅菌ペーパーポイントを挿入し、20秒間保持した後、輸送用媒体入り小瓶に移した。以下の歯周病原菌を、DNA歯周診断用キッドを用いて、ベースライン時と術後13週目及び26週目に分析した。
結果
研究のために本来集めた78名の患者のうち26週目の追跡観察に利用できたのは58名のみであった。微生物学的パラメーターは採取したプラークサンプルを分析したところ、研究対象とした全ての細菌種が検出された。
両治療後に、プロービングデプスと相対的臨床付着レベルは、統計的有意に減少したが統計的有意に異なっていなかった。BOP頻度は、レーザー群(73.9%)と音波群(77.6%)で、統計的有意に異なっていなかった。13週後には、頻度値は両群内で優位に減少し、レーザー治療(48.3%)と音波治療(50.0%)は異なっていなかった。26週後のリコール時にはBOP頻度に関する有意に異なる変化はレーザー群(46.6%)と音波群(53.4%)で示されなかった。ベースライン時のPCR頻度値は、レーザー群と(44.8%)と音波群(32.8%)で有意に異なっていなかった。統計的有意の変化は13週間後にも26週後にも(レーザー43.1% 音波36.2%)、観察されなかった。
結論
支持的歯周ケア中に利用される、音波治療とレーザー治療は同じような臨床アウトカムと微生物学的アウトカムをもたらすと予測できる。