The Effect of Covering Materials with an Open Wound in Alveolar Ridge Augmentation Using Beta-Tricalcium Phosphate : An Experimental Study in the Dog
Βリン酸三カルシウムによる歯槽堤増多時の開放創を覆う材料が及ぼす作用。イヌの実験研究
著者:Kenji Inomata、Eriko Marukawa
目的
本研究の目的は、イヌの下顎骨に形成した頬側壁の裂開を伴う歯槽骨欠損を増多するために、初期封鎖を伴わずにコラーゲンメンブレンまたは遊離頬側粘膜で覆うβTCPの有効性を調べることにあった。
材料と方法
5頭のオスビーグル犬にて、下顎の全小臼歯(P1-P4)を抜歯することで無歯顎堤を作り出した。抜歯から12週間後に骨頂に切開を入れ下顎のそれぞれの側に2個の骨欠損を形成し、(長さ5㎜、幅5㎜,深さ7㎜)、頬側面の骨板を除去した。4個の骨欠損を無作為に以下のいずれかに割り振った。
群1=βTCPの移植(TCP群)
群2=コラーゲンスポンジで覆うβTCP移植片(TCP+コラーゲン群)
群3=遊離頬側粘膜で覆うβTCP移植片(TCP+粘膜群)
群4=治療無し(対照群)
再生された骨の微細構造をマイクロCTで観察し、新生骨の面積を測定した。それぞれの欠損から標本を選び組織学的分析と組織形態計測学的分析を行った。標本上で新生骨面積と顎堤幅を測定した。
結果
対照群と全ての試験群との有意差が発見された。TCP+粘膜群における歯槽骨頂の頂点から2mmの所の、顎堤の中間水平幅はTCP群におけるそれよりも、有意に大きかった。TCP+粘膜群とTCP+コラーゲン群はどの測定値についても有意に異なっていなかった。
結論
裂開がある歯槽骨欠損に、βTCP移植片を適用し、その開放創を頬側面遊離粘膜、またはコラーゲンスポンジで覆うという治療法は、顎堤のを保存するのに有用でありうる。
治療しなかった場合、または創部を解放のままにしておいた場合よりも、これらのアプローチを利用した場合の方が、より多くの新生骨が形成され、適切な水平幅が下顎にもたらされた。