インプラント埋入後の、インプラント周囲の硬組織と軟組織の辺縁寸法に対して、頬側面の骨頂幅が及ぼす作用。イヌの実験研究。

著者
Gabriele M. Baffone 等
目的
治癒後の歯槽堤にインプラントを埋入した後の、軟組織と硬組織の寸法に対して、頬側面骨壁の幅が及ぼす作用を、調べることにあった。
材料と方法
6頭のLabradorにて、両側下顎小臼歯と第一大臼歯を抜歯した。3ヶ月の治癒後に、下顎のそれぞれの側に1個、計2個のインプラント受容窩を形成した。その際には、右側(対照)では、頬側面の顎堤幅は約2mmとなるよう、そして左側(試験)では、それは1mmとなるよう形成した。インプラントを、歯冠辺縁が、頰側面の歯槽骨頂と同レベルになるようにしながら、埋入した。アバットメントを連結し、非粘膜下治癒となるよう、歯肉弁を縫合した。3ヶ月後に犬を安楽死させ、研磨切片を得た。
結果
全てのインプラントが、完全に骨統合していた。インプラントの歯冠粗造面辺縁から測定した、最も歯冠寄りの骨-インプラント接触点は、試験部と対照部でそれぞれ、尖部寄り1.04±0.91mmと、0.94±0.87mmのところに位置し、骨頂のトップは、試験部と対照部でそれぞれ、0.30±0.40mmと0.57±0.49mmのところに位置していた。統計的有意差は発見されなかった。しかし、粗造面辺縁から尖部寄り1mmのところで調べた、水平的骨吸収は、対照部の方が(1.1±0.7mm)、試験部よりも(0.3±0.3mm)、より多かったことが発見され、この相違は統計的有意であった。インプラント埋入時のインプラント周囲粘膜は、薄かったが(2.4-2.6mm)、3ヶ月の治癒後には、3.90-4.40mmの生物学的幅径が観察され、対照部と試験部は、統計的有意に異なっていなかった。
結論
1mmという頬側面骨壁幅と、2mmというそれは、3ヶ月の治癒後に、同じような軟組織と硬組織の寸法を達成したことが、本研究の結果より示された。更に、インプラントの埋入時に、薄い粘膜が存在していた症例では、幾分かの辺縁骨喪失、並びに、治癒中における、粘膜の歯冠方向への増殖と関係した、’生物学的幅径’が確立された。
2012 John Wiley & Sons A/S