著者
Mario Bassetti等
目的
付随的な局所薬物送達(LDD)による、初期インプラント周囲炎の非外科的治療と、付随的な光線力学療法(PDT)によるそれを、12か月後に、臨床効果、微生物学的効果、並びに宿主由来効果に
ついて、比較することにある。
材料と方法
初期インプラント周囲炎、つまり、プロービング後に出血する(BoP)、4-6mmのポケットプロービングデプス(PPD)が存在し、レントゲン像上の骨喪失が2mm以下であった、40名の被験者等を無作為に、2個の治療群に割り振った。全てのインプラントを、チタン製キュレットと、グリシンベースのパウダーエアーポリッシングシステムで、機械的にデブリドマンした。試験群のインプラントには(N=20)、付加的にPDTを適用し、対照インプラントでは、インプラント周囲ポケットに、ミノサイクリンマイクロスフェアを局所送達した(N=20)。3、6、9、及び12か月後に、BoPが残っていた部位に対して、治療を繰り返した。第一アウトカム変数は、BoPを伴うインプラント周囲部数の変化であった。第ニアウトカム変数には、PPD、臨床付着レベル(CAL)、粘膜退縮(REC)、細菌数、並びに、宿主由来バイオマーカーの歯頚部液(CF)中レベルに関する変化を含めた。
結果
両群で、BoP陽性部の数は、べ一スライン時から12か月後にかけて、統計的有意に減少した(P<0.05)(PDT:4.03±1.66-1.74±1.37、LDD:4.41±1.47-1.55±1.26)。べ一スライン時からの、PPDの統計的有意の減少が(P<0.05)、PDT治療部では、最長9か月後まで(4.19±0.55mm-3.89±0.69mm)、LDD治療部では、最長12か月後まで観察された(4.39±0.77mm-3.83±0.85mm)。P.gingivalisとT.forsythiaの数が、べ一スライン時から、PDT群では6か月後まで、そしてLDD群では12か月後まで、統計的有意に減った(P<0.05)。IL-1βのCFレベルは、両群でベースライン時から12か月後にかけて、統計的有意に減少した(P<0.05)。12か月後の臨床的、微生物学的、並びに宿主由来パラメーターに関する、統計的有意の群間差は観察されなかった(P>0.05)。
結論
付随的PDTによる非外科的機械的デブリドマンは、ミノサイクリンマイクロスフェアの付随的送達と同じく、粘膜の炎症を減じるのに、最長12か月に渡り、効果があった。
付随的PDTは、初期インプラント周囲炎を非外科的に治療するための、LDDに代わるアプローチであると言えよう。