上顎の根分岐部病変は、その後、インプラントを埋入する前に行われる骨増多の予知因子か?パイロット研究。

著者:clememt walter等 出展:COIR,25,2014,1352-1358
目的
第一、第二上顎大臼歯にて、根分岐部病変を有する重度歯周炎患者で、根分岐部間の骨高径を、その後、上顎洞底を挙上する必要がある可能性と関係付けながら分析することにあった。
材料と方法
歯周的に支障をきたした上顎大臼歯の予後を、術前に詳しく調べ、それに対する外科的治療介入を計画するためにCBCTを撮影した。17名の有歯患者を、本研究に連続的に集めた。
患者等は2006年9月から2010年1月にかけて集め、取り込んだ17名の患者より得た、歯周疾患に罹っていた17本の第一大臼歯と、15本の第二大臼歯が写っていた。計20枚のCBCTスキャンを分析した。
全歯に対する感度試験、PPD、プロ一ビング付着レベル(PAL)、及び根分岐部病変(FI)に 関する、充分な歯牙検査と歯周検査並びにデンタルによるレントゲン検査に基づいて 、患者等を全汎性重度慢性歯周炎、または重度慢性歯周炎と診断した。
術前の歯周治療と、スケーリング、ルートプレーニングから成る非外科的歯周治療から 6か月を経た再検査時に、彼等は6mm以上の残存PPD、または、重度FIを有していたことから、上顎領域に対する歯周手術が必要であることが示された。
根間歯周組織の水平的な喪失が、2級、3級であった場合を重度FIと定義した 。
結果
根分岐部間の最小骨高径は、平均で4.1±2.6mmで、75%の上顎臼歯では、上顎洞下に残っていた骨の高径は6mm以下、60%の上顎臼歯では、それはたったの4mm以下であった。
2か所以上の歯牙部位にて、残存PPDが6mm以上残っていた場合、根分岐部の骨高径が、4mmという短さである危険性は、高めであった。
結論
本パイロット研究のデ一タから、歯周疾患に罹っている上顎大臼歯を抜歯した後の上顎洞底挙上の必要性を推定できる。
歯周疾患に罹っていた上顎大臼歯の大半で、特に残存PPDが6㎜以上であった部位を2か所以上有していた大臼歯の大半で、根分岐部の骨高径はかなり短かった。
これは歯牙をインプラントで置換することが求められる症例でその後の上顎洞底を拳上する必要性の予知因子であった