インプラント周囲疾患とインプラント失敗の、有病率と予知因子。横断的分析。

著者
Diane M. Daubert 等
目的
本研究の目的は、インプラントの喪失とインプラント周囲疾患の、考えうるリスク因子を発見することと、インプラント周囲炎とインプラント喪失についての、予知モデルを作成するために、これらのリスク因子を利用することにある。
また、本稿の出版時に利用できる最良の、インプラント周囲疾患の定義を利用しながら、インプラントの埋入から10年を経た後の、インプラント周囲疾患の有病率を計算することも、目的とする。また、アンケートを利用して、インプラントに関する問題が、インプラントに対する患者の受け止め方に影響しうるかも調べる。
方法
1998年から2003年にかけて、225本のインプラントを埋入した、96名の患者について、横断的研究を行った。患者記録から、インプラントの埋入に関する情報を集め、追跡観察のための臨床検査とレントゲン検査を行うため、患者等をリコールした。インプラント状況と歯周状況を調べ、インプラント周囲疾患と、インプラント喪失の有病率を調べるために、データを分析し、予知モデルを検定した。
結果
患者の平均追跡観察期間は、10.9年であった。インプラントの生着率は、91.6%であった。インプラント周囲粘膜炎は、33%のインプラントと、48%の患者で発見され、インプラント周囲炎は、16%のインプラントと、26%の患者で発症した。
インプラント周囲炎に罹っていた患者は、健全なインプラントを有していた患者よりも、問題を報告する可能性が、2倍より高かった。インプラント周囲炎は、埋入時における若年齢と糖尿病、並びに、追跡観察時における歯周状況と関連性がある。インプラントの喪失は、糖尿病、即時埋入、並びに、太めのインプラントと関連性がある。
結論
11年後に、4人中1人の患者と、6本中1本のインプラントで、インプラント周囲炎が認められる。
患者の歯周状況と糖尿病状況は、インプラントのアウトカムを予知するのに役立ちうることが、本データより示唆されている。
J Periodontol・March 2015