スクリュー固定とセメント固定による固定式インプラント支持修復物の、臨床性能を比較する。系統的レビュー。

著者
Julia-Gabrieia Wittneben等
目的
本レビューの目的は、セメント固定式、またはスクリュー固定式インプラント支持修復物の、生物学的、及び技術的失敗及び、合併症の発生率について発表された臨床研究から、詳細なデータを取り出すことにあった。
また、修復物のタイプ、上部構造の材料(修復材とアバットメント材)、及びセメントタイプなどのような、更なる一連の補綴特徴を、予測される事象リスクに関して観察される相違と、関係付けることも目的とした。
 
材料と方法
McSHとフリーテキストタームを利用しながら、2000年から2012年9月にかけて、Medline(PubMed)、Embase、及びCochraneの各電子データベースを検索した。一定の取り込み基準と排除基準を持って、検索を誘導した。2名の検者が個別に、まず全ての研究の概要を精査した後、全文を読んだ。2名の検者がデータを抽出し、ランダム効果Poisson回帰を利用して、統計分析を行った。
結果
4,324本の概要から、321本の論文全文を精査した。73本の論文が、取り込み基準を満たしていた。
セメント固定式修復物とスクリュー固定式修復物の、5年生存率はそれぞれ、96.03%(95%信頼区間[CI]:93.85-97.43%)と、95.55%(95%Cl:92.96-97.19%)であった(P=.69)。単冠(I-SC)(P=.10)と、固定式部分義歯(I-FDP)(P=.49)に分類しながら行った、セメント固定とスクリュー固定の比較で、相違は示されなかった。
スクリュー固定式フルアーチ修復物の5年生存率は、96.71%であった(95%CI:93.66-98.31%)。接着修復に関しては、オールセラミック修復材の方が、陶材焼付金属冠(PFM)よりも、失敗率は有意により高かったことが示されたが(P=.01)、スクリュー固定式修復に関しては、それは示されなかった(P=.66)。統計的有意差が示された、技術的合併症と生物学的合併症は、以下の通り。
維持の喪失(P≦.01)、アバットメントの緩み(P≦.01)、陶材の破損、そして/または欠け(P=.02)、痩孔/排膿の存在(P≦.001)、全体的な技術的事象(P=.03)、及び、全体的生物学的事象(P=.02)。
結論
生存率に関しても、失敗率に関しても、セメント固定式修復物とスクリュー固定式修復物は、統計的に異なっていなかったことが発見されたが、スクリュー固定式修復物の方が、全体的に、技術的合併症と生物学的合併症の発生率は、より低かった。
それぞれの修復物タイプ(I-SC、I-FDP、フルアーチI-FDP)、及び、それぞれのアバットメント材(チタン、ゴールド、セラミック)は、失敗率について統計的有意に異なっていなかった。セメントのタイプは、維持の喪失には影響したが、接着修復物の失敗率には影響しなかった。
The International Journal of Oral & Maxillofacial Implants