インプラントを埋入する前に利用されるアジスロマイシンとアモキシシリンを比較する。生物学的利用能と術後炎症の解消に関する予備的研究。

著者
Mariana Gil Escalante 等
目的
予防的に1回投与されるアモキシシリンは、インプラントの早期合併症を減じることが、各研究によって示唆されているが、他の抗生剤にも効果があるかは、分かっていない。
本研究では、一回法インプラントの埋入前に1回投与する、アジスロマイシン、またはアモキシシリンに由来する、局所的な抗菌効果と抗炎症効果を比較した。
材料と方法
一回法インプラントを埋入する必要があった、健全な成人患者を無作為に、術前に、2gのアモキシシリンを投与する群か(n=7)、或いは500mgのアジスロマイシンを投与する群(n=6)に割り振った。
新しいインプラントから、インプラント周囲溝液(PICF)サンプルを、そして隣接歯から歯肉溝液(GCF)を、術後6、13、及び20日目に採取した。サンプル中の炎症メディエーターを免疫アッセイで分析し、抗生剤のレベルを、バイオアッセイで測定した。
結果
6日後に、アジスロマイシン濃度は、GCF中とPICF中でそれぞれ、3.39±0.73µg/mLと2.77±0.90µg/mLで、アモキシシリンは、検出リミットを下回っていた。アジスロマイシン群の方が、早期治癒中に、GCFは有意により多く減ったことが示された(P=0.03、分散分析)。
治癒中の特定の時期に、アジスロマイシン群で、アモキシシリン群と比較した時の、有意により低いレベルの、GCF中IL-6とIL-8が示され、有意により低いレベルのPICF中顆粒細胞コロニー刺激因子、IL-8、マクロファージ炎症性タンパク質-1β、及びインターフェロンγ誘導蛋白質-10が示された。
結論
アジスロマイシンの方がアモキシシリンよりも、術部により長く留まり、アジスロマイシンを服用した患者の方が、GCF中とPICF中の、特定の炎症性サイトカインとケモカインのレベルは、より低かったことが示された。
つまり、術前のアジスロマイシンはアモキシシリンよりも、術後炎症の解消を、より大規模に促進しうると言える。
(Comparison of Prophylactic Antibiotics)