ARONJに対する歯科的対応 
特に感染病変を伴う歯の抜歯について 日本歯科評論3月

顎骨壊死と顎骨骨髄炎

BPなどによるONJの診断基準では8週間以上持続する骨露出が重要な症状であり、口腔に露出した骨は病理組織学的には骨壊死を生じている。

我が国のARONJでは、歯性感染症(主に歯周炎)から進展した顎骨骨髄炎型が多く、進行すると骨壊死を生じるが、原因歯の抜歯や抗菌薬での治療によって、壊死に至らない骨髄炎もある。

一方、顎骨壊死型といえる無菌性のARONJもあり、義歯性潰瘍などによる粘膜損傷部位の他、下顎隆起、口蓋隆起、顎舌骨筋線など粘膜が薄い部位に骨露出を生じやすい。

 

ARONJのリスクを再確認する

骨吸収抑制薬

骨粗鬆症に対する低用量の経口BPであっても、4年を超える長期投与によりARONJの発症率が高まるとの報告もあり、注目すべきは累積投与量である。過大な咬合力は、外骨症を生じることからもわかるように活発な骨のリモデリングを誘発し、その結果BPの顎骨へのより多くの沈着、累積をもたらすため、骨吸収抑制薬を修飾するリスク因子である。

 

慢性炎症

歯周病や根尖病変などの炎症性歯科疾患は顎骨骨髄炎の原因であり、抜歯して確実に感染病変を除去することにより、顎骨骨髄炎型ARONJの発症を予防できる。

 

まとめ

①骨吸収抑制薬は累積投与量が多いほどARONJのリスクが高い

②抜歯よりも慢性炎症の持続により生じる顎骨骨髄炎方ARONJが多い

③顎骨骨髄炎型ARONJでは感染病変を伴う歯を抜歯することが予防につながる。

④BP継続下抜歯を行ってもBRONJは発症しない。長期の抗菌薬投与は不要で、創の完全閉鎖も不要と思われる。