歯科医院のための内科学講座

補綴臨床 vol52.NO6 2019.11

口腔がん対応

口腔がんの疫学
日本の口腔がんは、全がん中の1%程度といわれており、患者数は2015年推計値で年間10万人あたり14.5人位。(男性21.6人 女性8.4人)
人口100万人だと、咽頭と合わせて年間およそ150人という計算になる。男女差は3:2と男性に多い。初診時の平均年齢は60歳代。
頭頸部がんの4割が口腔がんであり、その中で最も多いのが舌がんで6割くらいを占めている。

口腔がんの治療法
1、手術 口腔がんでは、治療の中心
2、放射線療法 小線源治療など限られた条件では手術と同等もあるが、放射線のみでは完全に治せる率は低い
3、化学療法 残念ながら化学療法のみでは完全な治癒は困難、補助的に使われることが多い

口腔がん手術の実際
がんの手術の原則は1、en blocでとること2、安全域をつけてとること
口腔がんの場合には、頸部リンパ節に沿ってがんが流れていく。そのため頸部リンパ節郭清をする。全て原発巣からリンパの流れに沿って一塊としてen blocでとって、舌を頸部リンパ節の郭清物と一緒に引き抜くのをpull throughとよんでいる。これもリンパ流ごと取る為に行う。

こんな症状は口腔がん?
・大きさ10ミリ以上
・2週間以上治らない(痛みのある場合とない場合がある。)
・表面が白や赤など周囲と違う色