著者;田邉憲昌先生
商業誌;日本歯科評論 2月2020より
日本における口腔内スキャナーの普及状況を見てみると、正確なデータはないもののその普及率は5%にも満たないと言われているが、もし光学印象法が保険収載されたとすれば、急速に普及するものと予測される。
導入と維持にかかるコストは?
まず、導入にかかるコストは、単純にスキャナーの価格のみで考える場合と、CADソフトやミリングマシンなどのパッケージ販売で総合的にCAD/CAMシステムとして導入するのとでは、コストが大きく変わってくる。今回は口腔内スキャナー単体での導入の是非を考えてみたい。現在販売されているものは定価500万前後である。加えて注意が必要なのはスキャナー単体で販売されていても実際の脂溶にはソフトウェアが必要であり、ソフトを含むとさらに高額になることや、接続するパソコンに要求するスペックが非常に高いため、30万オーバーの高コスト大型ノートパソコンが必要になることが多い。また維持にかかるランニングコストも重要である。多くのメーカーでCAD/CAMシステムのライセンス契約料や保守費用として年間10-30万円程度かかることが多く、その他に切削・研摩材やバーなどの消耗品も使用頻度が高ければそれなりに費用を要するので、注意が必要である。
現在、GC社ではある程度機能を限定した安価な口腔内スキャナーの販売を計画中で、200万を下回るような価格設定が予想されている。
どのメーカーを選べばよいか
まずは自分がどのような治療に使いたいかということが最も重要である。どのメーカーが優れているかについて言及することは難しい。
最近の機器では光学印象するだけでなく、支台歯形成チェック機能、シェ‐ドテイキング機能、など、多機能化によって他の機種との差別化を図っている。
設置スペースは?
口腔内スキャナーの構成としては、基本手にモニターやPCと一体型のシステムか、ノートPCと接続して使用する分離システムの2通りとなる。基本的にユニットごとに口腔内スキャナーを設置すrことはコスト面から現実的でなく、既設ユニット間を移動しての使用、すなわち分離型システムの使用となるため、専用のカートなどを準備しないと使い勝手が悪いことが多い。自院ユニット間のスペースや移動の導線も考えて検討したい。
現時点では口腔内スキャナ‐導入における最大の障害は導入と維持にかかるコストだと思われるが、基本的に多機能・高性能なものほど高額となる。一番重要なのはどのような歯科治療を行いたいかどのまでこれで対応したいかなど、使用する目的をよく考えたうえで検討を行うことである。