商業誌;Dental Review 4月2020より
著者;備前島崇浩先生、齋藤淳先生
本稿ではリグロスとBio-Ossを併用した歯周組織再生療法についてその安全性や有効性について、実際の臨床成績と併せて提示
リグロスと骨移移植材の併用:これまでにわかっていること
リグロスは種々の骨欠損に適応するゲル状を呈しており、単独での応用が基本である。単独応用の効果は第三相試験である他施設RCTで実証済みであり、日常の臨床でも確認している。リグロスの基材にはスペースメイキング能は付与されておらず、術後に歯肉弁の落ち込みが予想される骨欠損に応用する際には、骨移植材との併用による効果が多数報告されているが、付加的な有効性については十分に解明されていない。リグロス単独群とリグロス+Bio-Ossを比較した研究では併用群では特に問題となるような有害事象を生じさせず、臨床的に有用であることを示している。しかし、Bio-Ossは動物実験や生検の結果で吸収が遅いことが知られており、長期的に経過をおう必要があると思われる。
今回紹介された治療のデータのまとめ
また歯肉退縮に関しては術前と比較し有意差は認めらなかった。
長期的な有効性の評価が必要
これまでの臨床および研究からの知見から、筆者等はリグロスと骨移植Bio-Ossを併用した歯周再生治療は臨床的安全かつ有用であると考えている。日本歯周学会のガイドラインではEMDと骨移植術の併用について臨床的に有用な治療法と考えられるが、適応症に関する直接的なエビデンスは不十分であることから、慎重に考慮したうえで適応する必要があるとしている。今後はさらなる長期症例の生か、骨欠損形態の違いや移植材の違いによる有用性の評価により、どのような症例に併用療法が適応となり、どの骨移植材を選択するのかについてより明確な推奨が可能となるであろう。