商業誌;デンタルダイヤモンド/2020 3月
著者;遠藤広規先生
インプラント埋入時期の分類を知る。
いつインプラントを埋入すべきか?インプラント治療を考える上で非常に大切な課題である。まずはその前に抜歯後にインプラントを埋入する時期の分類を理解する必要がある。
文献レベルでは待時埋入の方が好成績である。そして抜歯したケースに関してはソケットプリザベーション行った方が患者にも術者にもメリットが多い。また抜歯即時埋入は患者にとってメリットは大きいが、脱落の可能性も多くなり前述の通り待時埋入の方が成功率は高い。そこで抜歯即時埋入は全て否定すべきかといった問題も出てくるだろう。これに関しては賛否両論あるが、当院ではインプラント治療全体の約20%で抜歯即時埋入を選択している。ただし、本数は多くはないが1年未満で脱落するインプラントのほとんどは抜歯即時埋入のケースである。
そこで、当院では上記の利点欠点を患者に説明し、納得してもらったうえで治療を行うようにしている。 いずれのケースでもCT撮影が必須であり、上顎前歯部では抜歯後に口蓋骨の骨量があるかどうか、下顎臼歯部に関しては中隔にどれだけ骨があるかどうかを指標にしている。
インプラント埋入を予定している部位の抜歯はとりわけ慎重におこなうべきである。骨に異常がないこと(歯周病に罹患していない)既存骨に負担をかけず抜歯を行うよう心掛ける。ペリオトームやフォレストワンなどを用いる。
骨補填材の活用は近年ではなくてもよい結果が得られているケースもあり、ケースバイケースでおこなっている。
抜歯即時埋入に関する基本的な考え方
患者にどれほど大きなメリットがあったとしても基本的に抜歯即時埋入はインプラント治療経験の浅い歯科医師が選択するべき治療ではない。しかし、治療経験をつめば患者にベネフィットを生む。