著者
Ho-Yong Byun 等
目的
上皮カラーを伴う、またはそれを伴わないSCTGを、歯冠側移動エンベロップ弁で被覆した後の、特定の臨床アウトカムを比較すること
材料と方法
前歯と小臼歯に2ミリ以上のMillerクラスⅠ、またはⅡの歯肉退縮を、1箇所有すると診断された20名の被験者を、the University of Michigan School of dentistry の患者プールから集めた。外科治療の術式は、受容部をMGJを超える部分層切開を伴う全層弁と、歯肉溝切開で形成した。口蓋提供部では、遊離歯肉辺縁から根尖寄り3mmのところで#15ブレードを用いて水平切開を入れた。SCTGNでは#15ブレードを用いて口蓋歯肉弁をアンダーマインし、分割した。口蓋歯肉弁下で、前方と後方に垂直切開を入れ、もう1本の水平切開をCT上で、根尖寄りに入れることで、移植片組織を分けた。骨膜エレベーターを用いて、移植片骨膜を骨から剥がした。SCTGEでもSCTGNと同じ処置を行ったが、移植片上で2mmの上皮カラーを含めるため、1本目の切開線から根尖寄り2mmのところで2本目の水平切開を入れた点が異なっていた。
結果(臨床パラメーターの群間比較)
2個の群のベースライン時における臨床パラメーターは統計的優意に異なっていなかった。
KW(角化歯肉幅)とRW(退縮幅)は2個の群で統計的有意に異なりSCTGE群の方が、有意により多くの角化組織を得、RWはより少なかった。しかし6ヶ月目では有意差は見られなかった。全体では20名の被験者中16名が6ヶ月目に100%のRCを有していた。3ヶ月目についても6ヶ月目についてもRD,GT,CAL,PD,PI,GI,WHIに関する有意の群間差は認められなかった。
(臨床パラメーターに関する群内変化)
ベースライン時と比較した時のKWとRD(退縮デプス)の変化は、統計的有意に異なっていた。CT,CAL,RWに関しても、両群にて統計的有意に異なっていた。しかし、PD,PI,GIに関してはベースラインと比較した時の有意差は3,6ヶ月目に示されなかった。
(受容部の歯肉弁の厚さとRCのアウトカム)
厚めのGT(歯肉の厚さ)を有していた被験者らは6ヶ月目に類似した平均RCを示したがRDの減少量は最も少なかった。RC(根面被覆)のアウトカムと歯肉厚さは、統計的有意の関係になかった事が結果より示された。
結論
両SCTG法は、RC89%以上を達成した事から成功をもたらしたといえる。SCTG上で上皮カラーを維持しても、KWの短期増大を除いて、臨床パラメーターにとっての有意の利益はもたらされなかった。したがって、上皮カラーが維持されるSCTGは、伴わないそれに優る臨床アウトカムには繋がらない。