移植材を伴わないオステオトーム上顎底挙上術 5年前向き研究

Osteotome sinus floor elevation technique without grafting: a 5-year prospective study
                                     
著者
Rabah Nedir
現在オステオトーム上顎洞挙上術(OSFE)で埋入されたインプラントの予後は、
オステオトームを用いた上顎洞底挙上術は、慣例的なインプラントと同様に良好であると示唆されている。
通常は、オステオトームを使用する場合、移植材(人工骨、自家骨)を使用することが多いが、近年移植材を用いなくても良好な結果が得られているとの報告がある。
目的
移植材無しで、上顎洞内にインプラントを埋入した後の、インプラント周囲骨形成の長期安定を、臨床的、レントゲン的に評価することにあった。
材料・方法
2003年4~12月にかけて、17名の患者を取り込んだ
女性14名、男性3名  平均年齢54.2±9.6歳(38~69)
取り込み基準
 ① 患者は上顎臼歯部に、インプラント治療を必要としていた。
 ② 移植材無しでオステオトーム上顎洞挙上術(OSFE)が行われた。
 ③ 計画されたインプラントの長さは10mmで、それより短い(6mm,8mm)はメンブレンの穿孔症例でのみ許可した。
 ④ インプラントの近心面、遠心面での残存骨高径(RBH)が、8mm 以下であること。
 ⑤ インプラントを確実に固定させるため、近心面と遠心面で1mmを超える骨を要していた。
 ⑥ インプラントの近心面、又は遠心面で上顎洞に2mm以上進入していた。
 ⑦ インプラントの初期固定が達成された。
 ⑧ 治癒期間中の可撤式部分義歯の着用は許可しなかった。
25本のインプラントを埋入した。
結果
全てのインプラントが生着基準を満たし、インプラント周囲骨は増加した。(平均3.2±1.3mm)
上顎洞内へのインプラント突出は、術後の4.9±1.9mmから5年後には1.5±0.9mmに減少
した。平均骨頂喪失は、5年間に渡り、安定していた。(0.8±0.8mm)
1年目の観察後に20本のインプラントでは付加的なインプラント周囲骨増加が示された。
結論
委縮した上顎骨のインプラント修復は、10mm以下のインプラントを使用し、移植材を伴わない
OSFE術で、大幅に簡素化されうる。委縮した上顎骨で、少なくとも3mmの骨を増加させる
のに、移植材は必要ない。この治療法は、良好な長期結果を伴いながら、予知的であると
思われる。
出典 Clin.Oral Impl.2008