セメント合着法によるインプラント維持固定式修復物と、スクリューによって維持される修復物を長期アウトカムについて比較する。

著者
Joseph Nissan /Demitri Narobai /Ora Gross/Oded Ghelfan/Gaviriel Chaushu
出展:INT J ORAL MAXILLO fac Implants volume26 Number5 2011
目的:部分無歯患者に装着した、インプラント接着修復物とスクリュー維持修復物の、長期アウトカムと合併症を比較すること。
材料と方法:1995年から2009年にかけてTel-Aviv University School of Dentistryに通院していた38名の連続患者。それぞれの患者にて口内分割デザインで治療対象となった顎のそれぞれの側に、インプラント支持接着連結修復物とスクリュー維持連結修復物を無作為に割り振った。追跡観察プログラムは、補綴治療完了後、全ての患者にて実行した。1年目は6ヶ月毎に、その後は1年に1回患者らを検査。それぞれのリコール時に以下のパラメーターを評価し記録した。陶材の破壊、アバットメントスクリューの緩み、メタルフレームの破壊、歯肉指数(GI)、辺縁骨喪失(NBL)。インプラント埋入時、6ヶ月目、12ヶ月1年毎にレントゲン像上の隣接面骨レベルをコンピューターで評価した。MBLの評価は、ベースライン時から観察期間終了までの、線型偏差に基づいた。リコールプログラムにはGIの評価も含めた。統計分析は、対のあるt検定を用いて、数値データを分析した。結果はP値及び95%信頼区間という形で報告する。5%レベルで有意を容認した。
結果:2次オペと、最終修復物による荷重後に221本全てのインプラントが生着していた。全ての患者が最長で15年間、定期的なリコールに応じた。追跡観察期間中に報告されたインプラントの失敗は皆無であった。2種類のコンセプトを補綴合併症について比較したところ、評価期間終了時のインプラント周囲辺縁骨レベルと、インプラント周囲骨レベルは、有意に異なっていた臨床アウトカムであったことが明らかとなった。インプラント支持スクリュー維持クラウンと、接着クラウンの破壊抵抗性が比較されたインビトロ研究で、陶材の破壊に対する抵抗性は、スクリュー維持修復物の方が接着クラウンよりも有意により低かったことが示された。アバットメントスクリューの緩みは、スクリュー維持補綴物にて(32±0.3%)、接着維持修復物よりも(9±0.2%)統計的有意により多く発生した。(P=0.001)平均GIスコアは、スクリュー維持修復物の方が(0.48±0.5)、接着修復物よりも(0.09±0.3)、統計的有意により高かった。(P<0.001)しかし、統計的に有意の相違はあったものの、平均GIそのものは低かった。観察期間終了時の平均MBLは、スクリュー維持修復物の方が(1.4±0.6mm)、接着修復物よりも(0.69±0.5mm)、統計的有意により多かった。(P<0.001)
結論
1スクリュー維持修復物の方が、補綴合併症の発生率はより高かったことが観察された。
2本研究で記録した生物学的パラメーター、つまり辺縁骨喪失と歯肉指数は、セメント維持修復物の方が有意に優れていた。