出展:The Internal of oral&Maxillofacial InplantsVol.26 Number6,2011 著:Phillip Roe
目的
即時荷重した、2本の非連結スレッドインプラントによって支持される
下顎オーバーデンチャーの、インプラント成功率、インプラント周囲組織の反応、
補綴メインテナンス、補綴合併症に関する3年追跡観察評価を提示する。
材料・方法
個別の補綴アタッチメント(Locator)を用いた、2本のスレッドインプラント
(Osseo Speed) の即時荷重についての3年追跡観察を行った。
データの収集
インプラントの埋入直後と(T0)、埋入後3ヶ月(T3m)、一年目(T1y)、2年目(T2y)、
3年目(T3y)に行い、以下の変数を記録した。
・インプラントの生着
・辺縁骨レベルの変化
・ペリオテスト値
・修正プラーク指数(mPl)
・補綴メインテナンス/合併症
結果
・インプラントの生着
8名の完全無歯患者 100%
・辺縁骨レベルの変化
T0:0.14±0.38㎜
T1y:-0.22±0.24㎜
T2y:-0.26±0.21㎜
T3y:-0.44±0.39㎜ 有意差あり
・ぺリオテスト値
有意差無し
・修正プラーク指数
最初の1年間は口腔衛生状況の改善が見られたが、その後は、後戻りしていた。
T3mでは患者の多く(6/8)で、口腔衛生は不良であった。
T1yとT2yにおける口腔衛生は、2名の患者で良、4名の患者で可、2名の患者で
不良であった。
T3yでは、1名の患者で良、5名の患者で可、2名の患者で不良であった。
・補綴メインテナンスの合併症
最も多かったのはT1yからT2yにかけてであった。
原因は、非保持型アタッチメントインサートの交換、アタッチメント収納部のずれ、
緩んだアバットメントの締めなおし、義歯の人口歯の修復、
オーバーデンチャー床の破壊及び、軟組織が収縮したためのリライニングが含まれた。
結論
1.全体的なインプラント生存率は100%であった。
2.1年目から3年目にかけての平均辺縁骨レベルの変化は-0.22㎜で、
この値は機能後1年目で観察された値(-0.36㎜)よりも小さい。
3.1年目には口腔衛生の明白な改善が見られたが、時間の経過とともに、患者等は
同レベルの口腔衛生を維持できなくなった。
4.オーバーデンチャーの高い(50%)部分的、完全破壊が観察された。
まとめ
補綴的トラブルは多少あるようであるが、修理も可能でインプラントも現時点の
生存率は100%であるようなので、下顎総義歯の難症例には有効な治療法だと
思いました。