表題
ツーユニットのカンチレバーブリッジを支持するために利用した、径が4.0mmまたは5.0mmの1歯Astra Techインプラントに関する前向き臨床治験。3年後の結果。
著者
Richard M Palmer 出展:Clin.Oral.Impl.Res23,2012,35-40
目的
ツーユニットのカンチレバーFDPを支持するのに利用したAstra Tech1歯インプラントを特にインプラントの生着、辺縁骨喪失、並びに機械的合併症について評価すること。
材料と方法
上顎または下顎の小臼歯/大臼歯部分に2本以上の小臼歯に相当する大きさの無歯空間を有し、対合していたのが、天然歯、または固定式/可撤式補綴物であった、31名の患者。
隣接歯、または解剖構造にダメージを及ぼすことなく、長さが11mm以上で径が4mm以上であるインプラントを1本埋入するのに適した骨寸法を伴いながら、無歯空間の近遠心的長さは12-18mmであることを条件とした。
排除基準は、ブラキシズム/異常機能の証明、即時抜歯窩または移植部、活動期のう蝕、歯周炎の存在、骨質不良(タイプⅣ)、または埋入したインプラントの安定不良(10Ncm未満の埋入トルク)10年以上に渡る1日に10本を超える喫煙。
治療術式は、全層粘膜骨膜弁を挙上してインプラントを埋入、利用可能な骨幅に基づいて4mm径、または5mm径のフィクスチャーMTOsseoSpeed(長さ11,13,15㎜)の受容窩を形成した。非粘膜下の1回法術式で、ヒーリングアバットメントを装着した。
補綴術式はインプラント外科術式から6-8週間を経て印象を採得した。
スクリュー維持にし、術後12週目に最終的なメタルセラミック補綴物を装着した。
結果
28名の被験者が治療術式を完了し、1歯インプラントカンチレバー補綴物を得た。
補綴物の中間高径は11.9㎜で8mmというカンチレバーエクステンションの中間値を含む総幅径の中間値は15.4mmであった。陶材の破壊やベニアの破壊などのような小規模の合併症は少なかった。
(n=11)しかしアバットメントスクリューの緩みは比較的多く発生した。4名の被験者ではそれは1回起き、他4名ではそれは何度も起きたため、3年目の検査の前に終了プロトコルを適用せねばならなかった。
その後2名の被験者が同じ理由で3年目を少し過ぎたころに脱落した。
インプラントの径、位置、補綴物の長さ、幅、及びカンチレバーエクステンションを含むスクリューの緩みと関係していた可能性がある要因を分析したが共通因子は示されなかった。
上顎補綴物を支持していたインプラントではより多くの骨が失われる傾向が見られたのに対し、下顎補綴物を支持していたインプラントでは骨は僅かに増加した。
被験者らをアバットメントスクリューが緩んだものと緩まなかった者に分けたところこの合併症が起きた被験者の非カンチレバー部ではより多くの骨喪失が起きた。
カンチレバー部の骨喪失とインプラントの長さとの有意の相関関係が存在した。
結論
小臼歯領域にてツーユニットのFDPsを支持するのに、適切なインプラントアバットメント境のデザインを有する、1歯インプラントを利用できると言える。
患者には機械的合併症の発生率が高めである可能性があること、カンチレバーユニットを除去せねばならない場合がありうることを知らせておく必要がある。