著者:Elen Figuero等
目的
妊娠と歯肉炎症の関係を、全般的に定量的に推定すること。妊娠中の歯肉縁下微生物プロファイル(バイオフィルム)と産後のそれの、量的、質的相違は存在するかを調べること。妊娠中の母親の局所免疫器官と産後のそれは量的または質的に異なるかを調べること。妊娠中の、患者中心のアウトカムを分析すること。
材料と方法
取込基準は歯周健康に対する妊娠の作用が調べられた、前向きコホート研究、または横断的研究であること
1集団:妊婦のみからなる、または妊婦と非妊婦女性から成る、全身的に健康な思春期後の女性が、研究に含まれることとする。
2暴露:妊婦が評価のために考察された暴露であった。
3比較:調べられ明確な比較は、妊娠期間中の相違、または妊娠していた、思春期後の妊娠可能な女性と、妊娠していなかった思春期後の妊娠可能な女性の相違であった。妊娠期間中の特定の比較を伴わない妊婦、産後の女性のみまたは妊娠していなかった女性のみからなる研究は除外した。
4アウトカム尺度:第一アウトカム変数は、GI、BOPから評価した歯肉の炎症であった。
第二アウトカム変数:PPD、CAL、PI、微生物学的状況、母親の局所的な免疫器官の変化及び、患者中心のアウトカム(自己報告の痛み、歯肉からの出血、歯肉肥大)
結果
コホート研究と横断的研究の両方で、GIは妊娠第Ⅰ期の妊婦の方が、第Ⅱ期または第Ⅲ期の妊婦よりもより低かったことがメタ分析によって明らかとなった。コーホート研究では平均GIスコアは産後女性の方が妊娠第Ⅱ期Ⅲ期の女性よりもより低かった。
妊娠期間の比較については、コーホート研究ではGIに関する相違は、非有意であったが、横断的研究ではそれに関する相違は程度は低かったものの有意であったことが示された。妊婦と産後の女性を比較した場合には有意差は発見されなかった。
コーホート研究では非妊婦女性と比較して妊娠第Ⅲ期にて有意により高い平均PPD値が観察されたがそれらの間では高い異質性が観察された。CALのメタ分析に利用可能であった比較は、3個のみであった。2件のコーホート研究のみメタ分析に取り込むことが出来た。妊娠の第Ⅰ期とⅡ期を比較した場合と、Ⅲ期と非妊婦を比較した場合に統計的有意差が発見された。
結論
プラークレベルの同時の上昇を伴わずに、歯肉の炎症は妊娠中に有意に高まることと、妊婦の方が産後の女性や非妊娠女性よりも、それは有意に重度であることが裏付けられている。しかしこの情報は、メタ分析に取り込んだ研究の少なさ、取り込んだ研究の質の低さ研究デザインの相違、ベースライン時における歯周診断の欠如、並びに数件の症例における歯周治療の実行がため、慎重に考察される必要がある。