フラップありインプラントとフラップレスインプラントの臨床的、レントゲン的、微生物学的、及び免疫学的アウトカム。前向き無作為対照付き臨床治験

著者
Marina Tsoukaki出展:Clin.Oral.Impl.Res24,2013,969-976
目的
本研究の目的は、フラップありインプラントとフラップレスインプラントの埋入を臨床的、レントゲン的、微生物学的、及び免疫学的パラメーターを利用して比較することにあった。
材料と方法
2009年10月から2010年9月にかけてthe Department of Preventive Dentistyで20名の被験者を取り込んだ。サンプル集団は9名の男性と、11名の女性からなった。(30-62歳)取込基準は、18歳以上、歯周的に健康で部分無歯固定式インプラント支持修復物で修復予定の喪失歯が1本以上存在、臨床測定と麻酔下での骨触診より判断して、頬舌的な骨頂幅が6ミリ以上3、 アンダーカットなしの骨構造5ミリ以上の角化組織幅であった。3ヶ月以上の術後治療を経て抜歯窩にインプラントを埋入。サンプルサイズと実験デザインは、一回法外科術式に従って、30本の骨レベルインプラント(Osseospeed)を埋入した。試験群は15本のフラップレスインプラントを埋入した、10名の患者から成り、対照群は歯肉弁を慣例的に拳上した後、15本のインプラントを埋入した10名の患者から成った。インプラントは全て、3か月間追跡観察した。
結果
全ての患者が所望の治療を受け、研究を完了した。実験群でも対照群でもインプラントの埋入後に、有害事象が確認された患者はいなかった。レントゲン像上の骨喪失は、インプラントフィクスチャーとヒーリングアバットメントの界面を参照点として利用しながら、骨喪失をDSRで実数㎜で測定した。対照群に属していた15本のインプラント中7本で骨は失われたことがDSR評価によって明らかとなった。しかし、試験群のレントゲン像上では骨喪失は観察されなかった。フラップありインプラントを埋入した患者の方が平均骨吸収量は有意により多かった。
免疫学的パラメーターは、MMP-8は1週目から6週目にかけて、非有意に増加した後、術後12週目に大きく減少したことが明らかとなった。sRANKLは限られた数のサンプルから検出され、2週目から12週目にかけて増加傾向が示された。統計的有意の相違は2個の群間でも、それぞれの群内でもなかったことがデータ分析より示された。
微生物学的パラメーターはチェッカーボードDNA-DNAハイブリッダイゼーションで調べた。
Pg、Tfに関してフラップレスの方がフラップありよりも有意により高いレベルを有していた。Tdに関しては統計的有意には達しなかった。痛みの平均VAS値に関する、2個の研究群の相違は術後1日目と2日目に統計的有意でフラップあり群の患者が感じた痛みの方がより重篤であった。
結論
フラップレスアプローチで埋入したインプラントは慣例的なフラップ外科手術で埋入したインプラントよりもインプラント周囲溝のデプス値はより小さく、術後の炎症反応はより軽くそしてインプラント周囲骨頂は吸収しなかったことが示唆された。フラップレスインプラント周囲でより多くの特定歯周病原菌が検出されたが、それは恐らく、この群でのより早いインプラント周囲溝の形成と成熟を、示唆するものであると考えられる。最後にフラップレスインプラントの方が、術後の痛みはより軽く、患者により容易に許容された。