著者
Arthur Rodriguez Gonzalez Cortes等
目的
本後ろ向き症例シリーズでは、インプラントの埋入時に、インプラント周囲の頬側面骨裂開を治療するため、厚い歯肉弁組織を利用する症例で行った審美的移植術の、臨床所見とCBCT所見を、提示することを目的とした。
材料と方法
頬側面骨移植を伴うインプラントの埋入を必要とし、2007年5月から2010年6月にかけて連続的に治療した全ての患者の、後ろ向き研究を行った。PSl(Globtek)とXiVE Plus(Dentsply/Friadent)という、2種類のインプラントシステムを使用した。全ての部位にて、軟組織の厚みは2mmを超えていた。二相性リン酸カルシウムで全ての骨裂開を完全に満たし、軟組織弁のみでそれらを覆った。
コーンビームCT画像を利用して、インプラントプラットフォームから、頬側面における、インプラントポディとの最初の骨接触までの距離を測定することで、頬側面での垂直的な骨喪失を調べた。
ここで調べた2種類のインプラントシステムより得られたアウトカムを比較するため、統計分析(Mann-Whitney検定)を行った。
結果
41名の被験者を選択し(男性18名、女性23名、平均年齢57.3±10.4歳)、60本のインプラントを埋入した(成熟後埋入52件、即時埋入8件)。平均追跡観察期間は、26カ月であった(範囲18-39カ月)。即時インプラントでは、8本全てにて、そして52本の成熟後インプラントでは、それらのうち33本にて、頬側面骨喪失量は0-0.5mmであった。
2mmを超える頬側面骨喪失が観察された部位は、2か所の成熟後部位のみであった。
インプラントシステム間の有意差は、認められなかった。研究インプラントの累積成功率は、100%であった(平均追跡観察期間26カ月)。
結論
組織学的観察の有無にかかわらず、軟組織の厚さが2mmを超える、頬側面骨裂開の症例では、障壁メンブレンを使用せずに移植を行い、僅かに過剰修正することで、予知的な治療を行うことができると、本研究の制限内で、ここで分析した追跡観察に基づく本データによって、示唆されていると言える。
ヒーリングアバットメント周囲で、組織を確実に、適切に封鎖するためには、緊張を伴わずに封鎖を行うことができる、歯肉弁の操作と縫合が必要となる。
The International Journal of Oral & Maxillofacial Implants