著者
Bassam Michael Kinaina 出展:JP.2011.82.413-428
目的
Ⅱ級大臼歯根分岐部病変に対する、数種類の治療法の効果を調べる。
材料と方法
1966年1月1日から2007年10月までに、英語で書かれた論文をPubmed,
Medline,Cochrane Libraryの各データベースに手作業検索を捕足しながら検索した。
検索には、術後6ヶ月以上を経て、リエントリー手術で追跡観察された、大臼歯Ⅱ級根分岐部病変に関する、無作為対照付きヒト治験を取り込んだ。垂直的なプロービングデプス、垂直的な骨レベル、及び水平的な骨レベルに関する変化を比較した。
結果
検索によって801本の論文が見つかり、そのうち108件の無作為臨床治験の中から、34件が取り込み基準を満たした。
13件の治験にて、試験群と対照群が設けられていたために、3個のメタ分析を行うことができた。非吸収性メンブレンと吸収性メンブレンの比較5件、非吸収性メンブレンとオープンフラップデブリドマンの比較5件、吸収性メンブレンとオープンフラップデブリドマンの比較3件。主に、垂直的骨充填に関する有意の改善が、非吸収性メンブレンと比較したときに、吸収性メンブレンにて認められた。
オープンフラップデブリドメンと比較したときに、吸収性メンブレンも非吸収性メンブレンも、垂直的なプロービングデプスの減少、付着の増加、水平的骨充填、垂直的骨充填の有意の改善が示された。
結論
Ⅱ級根分岐部病変が治療されてから、6ヶ月以上経た時点での、リエントリー手術にて測定された第一パラメーター、つまり、VPD、VCAL、HBL.及びVBLを評価し、以下の結論を導き出した。
1、吸収性メンブレンの方が非吸収性メンブレンよりも、有意に優れていた。
2、4個全てのパラメーターに関して、吸収性、非吸収性メンブレンによるGTRは、オープンフラップデブリドマンに優る結果をもたらした。
3、吸収性メンブレンに、同種移植片/異種移植片を付加することで、吸収性メンブレン単独に優るVPDの減少、付着レベルの増加、 及びHBLの増加がもたらされた
4、非吸収性メンブレン+同種移植片によるGTRは、非吸収性メンブレン単独に優る、骨レベル増加をもたらした。
5、歯牙要因と患者要因は、再生のアウトカムに影響した。故に術前に、これらの要因に焦点を当てておく必要がある。
6、各研究に大きなばらつきがあり、単質性も欠如していたため、本研究で行うことができたメタ分析は3個に制限された。