下顎オーバーデンチャーを維持する単独植立インプラントの即時荷重。1年パイロット前向き研究。

著者
Kip-yang Liao 出展:JOMI 2010 25 784-790
目的下顎オーバーデンチャーを支持する2本の単独植立インプラントの即時荷重と関係したインプラントの成功率、
インプラント周囲組織の反応、及び合併症を調べることにあった。
材料と方法
本研究には、10名の成人を取り込んだ(平均年齢59.7歳、範囲43ー78歳)使用したインプラントは、4.3×15㎜で3㎜の機械加工カラーを伴う、酸化チタン面を有するスレッドインプラントであった。
2本の単独埴立インプラントによって支持される、下顎可撤式オーバーデンチャーとそれに対合する上顎可撤式総義歯で治療した。それぞれのインプラントの成功と、臨床的にそしてレントゲン的に評価した。連続的に得た標準化デンタル上で、辺縁骨レベルと変化を調べた。外科的合併症と補綴的合併症を記録した。
結果
研究の完了までに2名の患者が脱落した。1名の患者は、6カ月後の追跡観察後に、リコールに応じなくなった。もう1名の患者では、3カ月後の追跡観察時に、インプラント周囲にレントゲン透過像が現れてインプラントが失敗したため、この失敗したインプラントを新しいインプラントに置き換えた後、研究に参加しなくなった。本研究で累積インプラント成功率を計算した際にはこの失敗インプラントも含めた。
1年後の累積インプラント成功率は94%であった。12か月後の平均辺縁骨喪失量は1.12±1.10mmであった。しかし、平滑―粗造インプラント表面境上で予期される0.39mmの骨喪失を考慮に入れると、平均辺縁骨喪失量はたったの0.73mmとなった。
1年後のperiotest値が―4.25±0.93であったことは成功した全てのインプラントで骨統合が達成されことを示唆していた。改良型プラーク指数スコアは研究期間中一貫して0と1であった。全ての症例で、最終的なオーバーデンチャーを、手術から3ヶ月後に作製した。研究期間を通して、合併症(義歯の破壊、義歯の裏装、維持の調節など)は起きなかった。
結論
オーバーデンチャーを維持する、即時荷重が付与される2本の単独植立下顎正中部インプラントは、良好なインプラントの成功と、インプラント周囲組織の反応をもたらしうると、本1年パイロット前向き研究の制限内で言える。