インプラント支持固定式部分義歯の生物学的、及び技術的成功アウトカムに対して、カンチレバーが及ぼす作用。

著者
Paul Kim等
目的
本研究の目的は、インプラント支持FDPの長期技術的、及び生物学的成功アウトカムに対して、カンチレバーが及ぼす影響を、更に探ることにあった。
具体的には、本研究では、カンチレバーの寸法と位置、FDPの寸法とデザイン、並びに当初の歯周状態などのようなパラメーターが及ぼす影響を調べ、技術的成功パラメーターと生物学的成功パラメーターの間に存在しうる相関関係を、発見することを目的とする。
材料と方法
132本のインプラントによって支持される、128個のカンチレバー付FDPs(cFDP)を有していた、107名の患者と、203本のインプラントによって支持される、144個のカンチレバーなしFPDs(ncFDPs)を有していた、99名の患者を比較した。
FDP装着から、最終追跡観察時にかけての辺縁骨喪失量や、生物学的、及び技術的合併症の、発生頻度と規模などのようなアウトカムを調べ、患者の年齢、インプラント、並びにFDPのデザイン特徴と相関付けた。
結果
平均追跡観察期間は、cFDPsが51か月(1551日、SD±977)、ncFDPsが49か月であった(1483日、SD±809)。インプラントの生着率と成功率は、インプラント支持cFDPsで96.7%と87.9%、ncFDPsで99.5%と92.6%であった。
cFDPsとncFDPsは、全体的な骨喪失について、有意に異なっていなかったが(カンチレバー側:0.58、SD±1.16-非カンチレバー側:0.59、SD±0.99)、カンチレバー群の方が、下顎臼歯部にて、有意により多くの骨を失った(cFDPs、0.50 SD±1.3mm;ncFDPs、0.24SD±0.80mm)。
カンチレバー群内では、カンチレバーアームの長さとインプラントの位置は、骨喪失に影響した。
カンチレバーの存在に関係なく、技術的合併症と関係したインプラントでは、生物学的合併症の発生率も高めであった。
また、カンチレバーアームの長さは、インプラントの失敗、技術的合併症、並びに1.5mm以上の骨喪失と、正の相関関係にあった(P=0.11、P<0.001、及びP<0.007)。
結論
全体的に、インプラント支持FDPにおけるカンチレバーの存在は、インプラント周囲の辺縁骨喪失に影響せず、このことは、単独FPDと、マルチユニットのFPD両方について言えることであった。唯一の例外が、下顎臼歯部におけるカンチレバーの存在で、この領域でカンチレバーに隣接するインプラントにて、辺縁骨の喪失量は多めであった。
カンチレバーの存在は、インプラントレベルでは、有意により多くの技術的合併症と関係していたが、FDPレベルでは、そうではなかった。
更に、技術的合併症が起きたインプラントはより頻繁に、生物学的合併症、並びに辺縁骨の喪失と関係していた。8mmを超えるカンチレバーアームは、より高い発生率の技術的合併症、並びに生物学的合併症と、有意に関係していた。