インプラント手術後の罹病に対して抗生剤の予防的投与が及ぼす影響 前向き二重盲無作為対照付き臨床治験

表題
The influence of propjylactic antibiotic administration on postoperative morbidity in dental implant surgery.
A prospective double blind randomized controlled clinical trial
著者
Rory Nolan等 
目的
インプラント手術前に、予防的に投与する抗生物質が、術後の罹病(腫脹、傷、創部 
の裂開、及び排膿) に及ぼす影響を調べること。 
術前の予防的抗生物質が、術後の痛みと、日常生活の障害に及ぼす影響を調べること。 
並びに、術前の予防的抗生物質が、インプラントの骨統合性に及ぼす影響を調べること。 
材料と方法
・手術の1時間前に、3gのアモキシシリンを経ロ投与した群(試験群= )とプラセボ カプセルを投与した群を比較した。
・研究デザイン:前向き二重盲検法 
結果
術前に、予防的に抗生剤を使用した場合の方が、それを使用しなかった場合よりも、インプラントの生着率はより高くなる。( 100 %対82 % ) 
プラセボ群では、5名の患者で各1本づつ、計5本のインプラントが失敗したが、抗生剤群では、 失敗したインプラントはなかった。この相違は、統計的有意には達しなかった。 
術後の病状(腫脹、傷、創部裂開、並びに排膿)は術後2日目と7日目に評価した。 2日後の傷に関しては、プラセボ群の方が、有意により高いようであったことを例外として、 他のアウトカム変数は、術後 2日目も7日目も統計的有意に異なっていなかった。傷に関する相違は、術後7日目には認められなかった。 創部の裂開は希で、その発生率は両群でほぼ同じであった。 排膿は2名の患者でのみ観察され、プラセボを服用した患者であった。;しかし、これも 有意ではなかった。 腫脹も、プラセボ群の方が多かったが、この差も、2日後、 7日後に関しても統計的有意ではなかった。 
結論
本研究の結果より判断して、 全般的に、 術前の予防的抗生剤は、 インプラントの生着と、患者の快適さ両方にとって、有益であるように思われる。また、手術時間とインプラントの本数も、インプラントの生着に影響したと、本研究の制限内で言える。 
更に、インプラント手術後の、術後痛と日常生活障害のレベルが高いことは、インプラント失敗の指標でありうる。