インプラント治療の臨床アウトカムと、患者によって報告されるアウトカムに対して、抗生剤の全身投与が及ぼす作用。多施設無作為対照付き臨床治験

著者
Wah Ching Tan等
出展
COIR,25,2014,185-193
目的
慣例的なインプラントの埋入を受けていた患者にて、患者によって報告されるアウトカムと、術後の合併症に対して、全身用抗生剤の予防的投与が及ぼす作用を、調べることにあった。
材料と方法
慣例的なインプラントの埋入を必要としていた329名の健全成人を、無作為に、4個の群(2個の試験群と2個の対照群)に無作為に割りふった。
群1(正の対照、PC)=慣例的なインプラント埋入の一時間前に2gのアモキシシリン
群2(試験1、T1)=術直後に2gのアモキシシリン
群3(試験2、2T)インプラント埋入の1時間前に2gのアモキシシリン+2日目と3日目に300mg(1日3回、8時間ごと)
群4(負の対照、NC)=インプラント埋入の1時間前に2gのプラセボ(抗生剤なし)
インプラントの埋入から8週間に渡り、盲検者が被験者等を臨床的に検査した。更に14日目には、痛み、腫脹、損傷、及び出血を調べるために、ビジュアルアナログ尺度VASを用いた。VASを分析するためにANOVAを行い、術後の合併症を分析するために、カイ二条検定を適用した。
結果
全ての群で、全てのVASスコアは低く、経時的に低下した。いずれの時期でも、VASスコアに関する、それぞれの群の有意差は見られなかった。4週目に、フラップの封鎖に関する、唯一の有意差が認められ、完全な創部封鎖が達成されなかった患者の比率はNC群で5%であったのに対し、他3個の群では0%であったがいずれかの術後合併症に関する、他の有意差はなかった。
結論
標準的な一歯インプラントの埋入では、手術の前または後、或いはその前と後に、全身用抗生剤を予防的に用いても、患者によって報告されるアウトカムと、術後合併症の発生は改善されない。