ヒト頬側面退縮欠損に対するEMDの利用を評価するための前向き症例対照付き研究。ヒトの組織学的検査

著者

Michael K.McGuire等


出展

JP2016,87 645-653  

 

背景

歯肉退縮(GR)を治療するために、結合組織移植片(CTG)と歯冠側移動術(CAF)を利用しても、歯周付着構造は再生されない。CTG+CAFは、新しい骨、セメント質、及び侵入する歯周靭帯繊維の形成を介した修復ではなく、長い上皮付着と結合組織付着を介した修復を行う。EMDは、歯周再生を達成できるという原理証明を有するが、データは限られている。

 

方法

矯正治療前に、4本の小臼歯を抜歯しておく必要があった3名の患者を、無作為オープンラベル研究に取り込んだ。Millerの1級、及び2級退縮を誘発し、それから2か月後にそれぞれの患者にて、根面を被覆するために、3本の歯牙ではEMD+CAFを、そして他1本の歯牙ではCTG+CAFを利用した。根面被覆から9か月後に、3名それぞれの患者に由来する、4本すべての小臼歯をブロックで抜歯し、歯周再生の証明を探すため、組織学的分析とマイクロCT分析を行った。あらかじめ定めておいた観察時に、標準臨床測定、レントゲン撮影、並びに口内写真撮影を行った。

 

結果

EMD+CAFで治療した9本の歯牙中7本で、異なる度合いの歯周再生が認められた。つまり組織学的分析によって、新しい骨、セメント質、及び侵入する線維が、確認されたのであった。マイクロCTに
よって、これらの所見は裏付けられた。CTG+CAFで治療した3本の歯牙については、歯周再生が認められた歯牙はなかった。

臨床測定値は両治療群で類似していた。EMD+CAF群で、1件の歯根吸収+アンキローシス症例が認められた。

 

結論

EMD+CAFが、歯周組織を再生することの組織学的証明が、ヒトの組織検査を介して、継続的に示されている。GRを治療に際するそれらの効果が調べられた、そのような研究の中でも、本研究は最大級であった。(歯牙9本)。作用機序、理想的な患者のプロファイル、及び、予知的再生につながる基準が、さらに探求される必要がある。