著者
Michel Stocchero等
出展
JOMI2016.31.1247-1263
目的
インプラント手術中に、窩洞を通常よりも細く形成した時の、生力学的、生物学的、及び臨床的アウトカムに関する照明をまとめることにあった。
材料と方法
2015年10月までに発表された、インビトロ、動物、及び臨床研究を3種類のデータベース(Pubmed. Web of Science Cochran Library)の電子検索と手作業検索を通して探した。通常よりも細くインプラントの窩洞が形成される術式と、そうでない窩洞の形成が比較された研究を取り込んだ。
結果
最初に選択した1655個の表題のうち、29件の研究が取り込み基準を満たしていた。(生力学的研究14件、生物学的研究7件、生物学的+生力学的研究6件、臨床研究2件。)方法学的バラツキがため、メタ分析は行えなかった。密度の低い物質に対して、通常よりも細いドリリングアプローチで埋入されたインプラントは、慣例的なドリリングで埋入されたインプラントよりも、有意により高い埋入トルクを有していたことが、数件の研究で示された。その一方で、厚い皮質骨に関しては、この効果はそれほど明白ではない。通常よりも細い術式で埋入されたインプラントと、そうでない術式で埋入されたインプラントは、長期の骨ーインプラント接触(BIC)という点で類似していた。短期の結果は非断定的であった。臨床研究では、通常より細いドリリングの負のアウトカムは示されなかったが、臨床照明は乏しかった。辺縁骨喪失に関するデータは利用できない。
結論
生力学的見地から言うと、密度の低い骨で埋入トルクを上げるのに、通常よりも細いドリリング術式は効果的である。通常よりも細い窩洞にインプラントが埋入された後の長期治癒中における生物学的反応は、通常のドリリング術式におけるそれと、類似している。密度の低い骨に、通常よりも、細いドリリング術式を適用する方法は、安全であることが、臨床研究によって示唆されている。しかし、これらのデータが裏付けられる、より大規模な研究が必要とされる。