パノラマX線写真を活用した小児の萌出障害への対応 
日本歯科評論 vol.79 No.7(2019-7)

 

本稿の目的:パノラマX線写真で萌出障害を診断する

調査方法
山口歯科医院(東京都西東京市)における2013年から2018年の6年間に撮影した12歳以下の696人のパノラマを分析し、「先天性欠如、歯胚位置異常、萌出遅延」の3つの問題について部位別の発生頻度を調査

先天性欠如
発生頻度:696症例中85症例(130本)=12.2%
最頻部位:下顎第二小臼歯 696症例中59本=4.23%(先天性欠如での比率:45.4%)

歯胚位置異常
発生頻度:696症例中45症例=6.5%
最頻部位:上顎犬歯 696症例中26症例=3.7%(歯胚位置異常での比率:57.8%)

萌出遅延
発生頻度:696症例中10症例=1.4%
最頻部位:下顎第一大臼歯 696症例中8症例(萌出遅延での比率:80%)

まとめ
小児の成長発育を見守るうえで最も大事なのは、異常の兆候を見逃さないことである。萌出障害も異常の兆候の一つであるが、その対応として最も重要なのは、早期に発見・把握することである。そのためには、小児期でもパノラマ撮影による検査は必要である。萌出障害のパターンはさまざまだが、部位ごとの特徴もある。頻度の多い障害を理解し、見逃さないように努めたい。