表題:Clinical outocomes of sinus floor augumentation for implant placement
using autogenousbone or bone substitutes:a systematic review
著者:Emeka Nkenke
出典:clin,oral,inp,res,20,4
目的
上顎洞底増多に際して、自家骨(AB)の使用には、骨代替品(BS)に勝る利点があるか調べる。
材料と方法
・検索法
ヒト研究をコンピューターで検索した。
(MedlineとEnbaseのデータベース):1966年1月1日から2008年12月31日まで。
雑誌を手作業検索した。
1998年1月1日から、2008年12月31日までに発表された、 上顎洞底増多に関するレビューより、レビューの全文を得た。
結果
・上顎洞膜の穿孔は、増多された上顎洞に埋入されるインプラントの、骨統合過程、生着を妨害しないと主張されている。上顎洞膜の穿孔、大規模な術後上顎洞炎との または、インプラント喪失との相関関係は発見されえなかった。
上顎洞炎の発生、部分的、完全な移植材の喪失は、移植材とは無関係であることが本レビューから示されている。
・本レビューのデータでは、移植材の吸収が、インプラントの生着に影響することは示されていない。
・上顎洞増多とともに、段階的アプローチを利用するか、あるいはインプラントの同時埋入を 利用するかの決定は、数件の研究では、残存歯槽堤の高径にもとづいていた。
どちらの治療法を選択するかは、任意で選択され、科学的背景を有しておらずインプラントの生着は、使用された異なる移植材で類似していた。
・残存歯槽頂の高径、インプラントの同時埋入か、生熟後埋入という側面は、 上顎洞増多で、ABが優先して利用されるべきか否かの決定には関与しないようである。
しかし、、インプラントの同時埋入のほうが段階的アプローチよりも侵襲性はより低く、
費用効率はより高く、時間効率的である。
・それぞれ
の上顎洞増多術後に設定された治癒期間も、それぞれの研究で、任意に選択
されたものであった。治癒期間が長いほど、それと関連した形で、インプラントの生着も
高まるということはなかった。インプラントの生着は、それぞれの移植材の治癒期間には
影響されなかったようである。移植材の治癒期間の長さがBSよりもABの方が好まれる
一つの理由であることは発見されなかった。
・費用面に関しては、ABの採取は手術時間の延長や、入院が必要になるケースもあった。
・全身的な疾患、喫煙、または他の危険要素が使用される移植材毎の、インプラントの
生着に影響するか否かを本レビューから決定することはできない。
・まとめると、ABを使用するべきか、BSを使用するべきかの判断と関係した、現況の論文
からもたらされる証明のレベルは低いもののみである。使用される移植材毎の
インプラントの生着に、残存骨高径、生熟後インプラント埋入、上顎洞炎、移植材の
吸収が及ぼす影響を明らかにすることを目的とした研究が、現時点では欠けている。
提供部の罹患、疾病の感染、費用という側面も適切に扱われていない。
したがって、臨床医に、BSよりもABの方を優先的に使用するよう促す明白な点は現時点
では見つからない。
結論
インプラントの生着、受容部における合併症という点で、
ABが他の移植材よりも優っているということは入手可能な証明によって、
支持されてもいないし、否定されてもいない。インプラントの生着は、上顎洞増多のために
使用される移植材以外の他の要素によって混乱されうる。